2011年6月 13 日
盛岡市議会六月定例会
一般質問

2011 年6月 13 日

盛岡市議会 六月定例会

盛岡市議会 会派「改革・みらい」 鈴木一夫

 まず, はじめに東日本大震災と防災についてお尋ねをいたします.
 盛岡市は地域防災計画を策定し, 災害対策基本法の定めにより, 市および一部事務組合, 県や自衛隊, 公共機関との役割を規定し, 業務の大綱を整備し, 市民の安全の確保および被害を最小限に軽減するための体制づくりや秩序の維持などを定めております.
 地域防災計画については, 計画と実際のかい離や広域災害への対応など課題も見つかったことや, 想定外の原発事故の広域化と長期化も重なったこと, また, さまざまな会合や今議会での一般質問や市議会防災対策研究会での指摘, 市民各層からの提言もあることから 抜本的な見直し作業がされるものと認識するものです. 1995 年1月発生した阪神淡路大震災でも関西の各自治体では, 地域防災計画の見直し作業を実施した経緯もありました. 国や県の指針や方向性を見定めながら, 市民の意見を聴く機会の設定やパブリックコメントなどを十分に行った上で, 地域防災計画の見直しをしていただきたいと考えます.
 地域防災計画の見直し業務については, 震災後3カ月が過ぎましたが, 改めて見直す必要のある項目や今後の日程的な段取りをお示し頂きたく思います.
 特にも停電による電源喪失や, 広域的な被災地域, またガソリン不足における課題について, 沿岸自治体で生じた, 行政機能のマヒについての対策についてお知らせ願います.

 今回は平日の3月 11 日であったことや, 議会開会中で市幹部は庁舎にいたことから即時の対応が可能であったわけです. これが, 平時で市長が出張でもしていればまた違った対応になったと認識します. 陸前高田市や大槌町や南三陸町のように行政機能の停止する事態を踏まえた防災計画の体制作りをする必要や 防災訓練に市長不在の場合の訓練を組み込むなどことも必要だと思います.
 地域住民には, いままでにない防災意識の高まりを感じるところです. この機会をとらえて防災訓練の体制やメニューの見直し, 自主防災組織の組織率向上と多様な啓蒙など動きをとっていただきたいと思います. 特に自助, 共助, 公助の防災の心得で自助と共助の重要性は今回の震災でも改めてはっきりしたところです. 地域力を防災により結集させていくことの再点検を行っていただきたいと思います.
 また, 市職員 OB を予備役として登録しておき, 災害時には招集して事務作業や窓口業務にあたっていただける協定を結んでおくことや, 提携市町村での人材派遣に充てるということは必要だと思いました. この点については如何でしょうか.
 盛岡市では沿岸被災地に対し, 街づくりや水道事業などで長期にわたり市職員を派遣することとしております. このような動きについては敬意を表します. 他方, 市の業務執行において通常の配置を減員することに, 市の日常業務への支障はないものか確認をしたく思います.
 市役所は分庁舎体制ですが, これを契機として行政機能の集約化を推し進めることが必要ではないかと思います. 今回の災害ではガソリン不足からくる移動の困難は大きな問題であったと思います.
 特に街づくりの核となる都市整備部が都南庁舎であることは, とても私自身とても不便だと感じています. また防災の面からも物理的な分断は不都合であると思います. 分庁舎体制と今回の災害について, どのような総括を出しているのか, また, 旧農林中金が空いているのであれば分庁舎として都市整備部などを入居するべきと考えます, 如何でしょうか.

 国の研究機関との連携についてお尋ねします.
 地震予知を研究する機関があるわけですが, なぜ M9.0 の巨大なエネルギーがあったにもかかわらず, 地震予知や事前警報がなかったものでしょうか. この研究機関の設立年月日および体制, これまで投入された国費, 対象の地域, 予知の成功事例などをお示し頂いた上で, 市は地震予知についてはどのように認識しているものでしょうか, お示し願います. また巨大地震がくるという警告が出た場合, 市は市民に対しどのような措置を講じるかについては地域防災計画ではふれておりません. この点についてはパニックの危険性と外れた場合の批判などについてもあると思います. この研究機関の信頼性はどのように認識しているものでしょうか.
 巨大地震は今後 30 年以内に 99% 以内の確率で起こるという警告は, 天気予報の 「晴ときどき曇り, ところによっては一時雨」 のようにあいまい過ぎると認識します.
 3月9日正午前の地震と津波が予兆であったとすれば, 思い切った警告を出せたのではないかと思います.
 もちろん, 災害はいつ起きるかわからないという注意喚起や心得という意味合いが強いのも承知しておりますが, 地震は予知できないのであれば, そのように宣言した上で, 市民の防災意識の高揚や防災まちづくりに努めるほうが合理的であると思います, いかがでしょうか.

 情報伝達手段については, 身近な情報が手に入りづらい状況により大きな課題があったと認識します.
 特にも, 停電により NTT 回線は不通となり携帯電話も繋がりにくく, 大きな問題を残したものと思います.
 現在市では, 地区担当員制度を検討しているところですが, 行政のきめ細かな伝達の窓口だけではなく, 防災あるいは除雪などの際にも, 地域の情報の拠点づくりをつくる必要があると思います.
 盛岡市では災害発生と同時に市役所内に災害対策本部を立ち上げるわけですが, その情報が適時伝わらなかったことが反省点の大きな項目に挙げられております.
 情報伝達についてどのような課題があるものかを是非総括いただきたく思います.
 今回の震災の報道では, 放送局の放映について, 地域分けをしたほうがよいと感じました. NHK は全国の情報発信をしていただき 各民放がそれぞれの県に張り付いて報道するという報道協定は結ぶことはできないものでしょうか.
 民放が4局あるわけですからが, NHK は全国の統括を行う, 朝日放送系列は岩手県, 日本テレビ系列は宮城県, 東京放送系列は福島県というように, 広域の災害の際の報道の担当を区別したらどうでしょうか. 報道機関の連携で, ほしい情報が入る報道体制が取れないものか, この点については如何でしょうか.
 また, 携帯メールによる情報の伝達が有効であると思います. 市職員以外にも我々議員あるいは登録する市民にも随時メールでの情報提供は有効であると認識します. メール活用策についての導入についてのご見解をお聞かせください.

 今後の防災まちづくりについてお尋ねをします.
 まちづくりの担い手になる市民の生活基盤の対応も大きな課題ではないかと考えます.
 今回の東日本大震災の復旧・復興支援については 特にも生活再建において二重ローンの問題が重くのしかかっております. もちろん, 信用や貸し手の立場もあるわけです. 生活を預かる被災地の首長からは何らかの国の支援策が求められております.
 災害時のおける二重ローンについて市はどのような見解をお持ちでしょうか, お尋ねします.
 私は, 日本列島の数々の自然災害の多さを考えると 自然災害に対しての財産版国民皆保険制度が必要ではないかと考えます. 自然災害はこれまでも日本列島各地で発生しております. その度に, 公費負担の議論はされてきております. 島原の雲仙普賢岳災害では, 住民の財産被害における行政の支援要望に対し, 当時の市長は私有財産の原則論を縦に個人財産への公費負担を見送った経緯もありました. 鳥取県西部地震で当時の片山知事が被災者の財産支援に公的な支援を行った経緯もあります. 災害後に人口減少が起これば当然地域の衰退に繋がる. それを阻止するためには地域の担い手を確保するために必要な負担であるという解釈であったと思います.
 個人資産の損壊に対し, 公の支援という議論は, これまでも災害の際に繰り返されてきたことであり, 今回の震災でも再び議論の俎上に出てきております.
 市は住宅資金の貸付制度を制定しており 被害程度に応じ融資限度額を定めその範囲内で住宅資金貸付を行うとしておりますが, 高齢化や担保力如何ではこの制度は十分に活用されないのではないか, と危惧するものです.
 民間の地震保険については, 地域防災計画でも加入促進をうたっておりますが, この保険は, 火災保険に上乗せして加入する制度であり, 火災保険では担保されない天災を担保するものです. しかし, 天災による全壊でも新しい家や家財を補填するまでにはいたらず, いわばお見舞い金程度の支払いではないかと認識します.
 車には強制保険の自賠責保険と民間の任意保険の2本立てですが, 家屋・家財についても生活再建ができるような制度や, 保険に保険をする再保険などを活用して二重ローンを帳消しにできるような保険制度は,検討する余地があると認識します.
 東日本大震災でも義捐金が寄せられましたが, これは任意の拠出とはいえ国民の負担であるとの見方も出来ると思います.
 災害に対し世論を喚起し, 義捐金を集めることも重要ですが, 日本全体での自然災害の現状を考えると 制度設計として互助の保険制度が私は必要だと思います.
 被災地が復興するには, 経済的な基盤と市民生活再建が大きなカギであると考えます.
 この二重ローンの有効な解決策について市長はこの件についてどのようなご見解をおもちでしょうか, お尋ねをします.

 年末年始の豪雪とその後の対応も, 市民の関心事であります.
 現在市は各地域で除雪における意見集約を実施する予定ですが, どの時期にまで意見集約をし, どの時期に今年度の除雪計画を立てる予定でしょうか.
 除雪業者からは概ね除雪委託費については, 評価を頂いているようですが, 委託費の今後の課題はどのような点があるものか, お聞かせ願います.
 年末年始の大雪により当初の5億2千万円の予算を1月には使い切り, 2月臨時議会では5億円の補正を行いました. 出納整理期間を終えた今日, どの程度の除雪費になったのかの決算額をお聞かせいただいたうえで, 除雪費における財源をどのように手当てをしたのか, 国からの助成はどの程度かをお聞かせ願います.
 機械力の除雪は大きな効果をもたらす一方で多額の維持費や運営費がかかるものです. 自発的な有志組織や中学生スノーバスターズ, 急きょ結成された市役所職員の除雪ボランティアがありましたが, 組織化された市民組織の設立が私は必要だと思います.
 秋田県では社会福祉協議会が音頭をとって除雪ボランティアを組織化しております. 組織化された除雪組織は, 非常に有効だと思いますが, 各地にある有志組織をゆるやかに統合したり一定の保険に加入したり, また, 一斉清掃同様に, 市民参加の除雪の体制をつくりあげることは必要ではないでしょうか.
 市民の除雪とその組織化や連携についての見解をお聞かせ願います.

 水害対策についてお尋ねをします. 2007 年9月の豪雨による南仙北や都南地区の一部が冠水することがありました. 盛岡市も過去にも大規模な水害に見舞われ, 中ノ橋の流出など経験をしてきたところです. ダムや堤防が整備をされたことにより戦後のアイオン, カサリン台風における浸水や記録に残る洪水は構造的には抑止されるものと認識しております.
 2007 年9月の水害のあと, 市の対策はどのように取られているものでしょうか. 前回浸水地域では, 再び水害の危険性はあるのかどうかも含め 現状の対策とその完了年度についてお示し願います. 盛岡市の雨水の排水処理力は1時間あたり 37 ミリの設計ですが, 近年のゲリラ豪雨や観測史上最大の降水量を観測したという他地域での報道を見ると, 盛岡市でも雨水対策を本格的にする必要があると認識します.
 もし西日本地区で多発しているゲリラ豪雨があった場合, 例えば1時間あたり 80 ミリの豪雨が市内に降った場合どのようなことが想定されるものがシュミレーションをしているものでしょうか.
 特に排水ポンプの稼働能力や台数, また広報体制についてはどのようになっているものでしょうか. また, 洪水ハザードマップには, 過去最大級の浸水域を地図に記載することはできないものでしょうか?  津波の記録については東北地方整備局が過去の津波の浸水記録を地図を作製するとしております. 私は敢えて盛岡市が経験した洪水浸水地区を掲載することにより市民に警鐘を含めた効果があるものと認識します, いかがでしょうか.

 つづいて交通政策についてお尋ねをいたします.
 私はこれまでも, クルマ社会の弊害について指摘をさせていただいたところでした. 29 万 8,000 人盛岡市民のうちクルマの登録台数が 21 万台あり, 市民の3人に2人がクルマを所有していること, クルマのための土地供給が現在のまちづくりの中心になっていること, 交通事故の問題や買い物弱者の問題などクルマ社会の弊害について, これまでも指摘してきたところです.
 そしてクルマ中心の街づくりから徒歩や自転車, 公共交通を中心としたコンパクトな街づくりが環境重視社会, 高齢化社会のまちづくりであると主張してきたところです.
 今回の震災後のガソリン不足はまさにクルマがなければ生きていけない地方都市としてその盲点を突かれたものと強く思いました.
 原油先物価格の変動や中東情勢によりこの数年もガソリン価格が乱高下しており 市民生活に直撃をする事態が繰り返されてきております. 今回の震災によるガソリンや灯油の供給不足状態は, 過去にない混乱やガソリンを手に入れるための見たこともない渋滞, 徹夜組続出するなど燃料確保にあえぐ市民の姿に私は心を痛めたものです.
 また交通量の減少に対し, 景気や経済の影響を危惧したところでありました.
 まずお尋ねをすることは, 盛岡市では1日あたりのガソリン必要量は何キロリットルなのか, また, 在庫量と毎日の供給量はどの程度でしょうか, お尋ねします.
 また今回のガソリン不足はどのようにおこったのか 時系列的にお知らせいただきたく思います.
 また盛岡市として常時の燃料確保は何キロリットルであるのかをお知らせいただき, 市の燃料確保は予定通りだったのかどうかもお知らせ願います.
 今回のガソリン不足の対策では, 単に一定程度のガソリンを確保すればよいというものではなく, まちづくりにおいて防災やクルマに依存しない街づくりや公共施設の郊外への移転の抑制など 環境重視に軸足を置くコンパクト化が必要だということを感じたものです.
 盛岡市の理想のまちづくりの姿を盛南地区にみることができます. 整然とした区画, クルマが走りやすい走行空間の確保, 自転車や歩道の充分な走行帯, 歩行者を安全するための地下道の整備, 電線を地中化することによる眺望や景観の確保, 一定程度に配置される公園などゆとりの空間, など盛岡市が描いてきた街づくりは一言でいえばクルマを中心とした街づくりであったと思います.
 公共交通軸をはっきりさせ クルマ社会からの転換を本腰をもって取り組むことが私は必要であると認識します.
 むしろ既存市街地の空き家や空き地の活用や中古不動産市場の拡大, 固定資産税や贈与税など税制による不動産市場の流動化の促進が不可欠であると思います.
 税制面における誘導を含め 市場の中での中古市場の活性化を図る誘導策についてご見解をお聞かせ願います.

 電気自動車の導入についてお尋ねをします.
 電気自動車については, 構造が簡単であること, 環境によいこと, ガソリン自動車との走行性能に差がなくなってきたこと, などから今後普及が期待されるものです.
 今回の震災復興でも電気自動車を投入した民間企業がありました. ところで, 現在市内には電気自動車はどの程度登録されているものでしょうか, また電気供給スタンドの整備や厳冬期の課題など 電気自動車普及のための今後のインフラ整備などはどのようなものかあるとお考えでしょうか.
 ガソリン不足の問題も電源があれば走行できる電気自動車の活用はある意味復興の象徴となると思います.
 盛岡市でも電気自動車を公用車として採用する予定はないものでしょうか.
 今回の震災後のガソリン不足では, 徹夜でガソリンを購入する動きをとる市民が続出した一方で バスはガラガラで運行している状況が続いたことも大きな課題であったと思います. 市民の移動ニーズと情報伝達のミスマッチがもたらしたこととはいえ, 課題を残したと思います. この点についてバス事業者とはどのような話し合いをしてきたのか, また今後の教訓はどのようなものがあるものかをお尋ねをいたします.
 高齢化社会における運転免許証返上の動きも出ております. 現状運転免許証返上者はどの程度の数になっているものか, 今後の高齢化の進捗により今後どの程度の数が免許証返上をする予定と想定されているものでしょうか.
 現在発行している, まちながおでかけパスの発行状況や今後の利用における課題, また免許証返上促進策とのからみをどのようにみているものか ご見解をお聞かせ願います.
 市内に4方向ある鉄道の利活用についても, 市民の足の確保という意味で促進をするべきと考えます. 特にクルマから鉄道に乗り換えやすいパークアンドライドの駅を IGR 巣子駅のように市内の郊外の東西南北それぞれに設置をすることにより, クルマから鉄道利用への誘導を図ることは, 喫緊の課題ではないでしょうか.
 滝沢村の巣子駅のパークアンドライドシステムは自動車と公共交通の共存に役だっているものと考えます. 問題は盛岡駅からの足の確保であり, レンタルサイクルやレンタルバイクによりビジネス利用が連携できなければ, 戸口から戸口にいくクルマの利便性には叶わないと考えますし, クルマからの転換も長続きしないと考えます.
 今回のガソリン不足を教訓として脱クルマの流れを主導していく施策の展開については必要になると思います.
 ぜひ, 郊外駅の駐車場整備と市内移動のレンタルサイクル・バイクの連携した導入や 市内一定区域のバスのフリー切符などの導入していただきたく思います.
 田沢湖線の前潟駅設置については調査実施の結果1日 1,100 人の利用者が見込まれるという結果がだされたところです. 建設費をどのように工面するのかが大きな課題であると思います. 宮古市は三陸鉄道北リアス線山口団地駅を国の補助金を使って開業させております. やる気になればさまざまな補助メニューを活用できると思いますし, ショッピングセンターの支援なども期待できるのではないでしょうか.
 前潟駅の建設費とその調達方法はどのような予定なのか, 地元住民の寄付はどのように考慮しているのかを含めた上で, 開業時期についてお知らせいただきたく思います.
 IGR の下田駅開設についても平成 26 年までの検討項目となっておりますが, いつ開業できるのか, 建設費の概算, 現在の進捗状況についてお知らせいただきたく思います.
 これらを踏まえ, 今年度の鉄道施策およびバス施策についての主な事業の展開や 今後5年程度で予想される事業についての大枠の方向性についてお知らせ願います.

(盛岡市議会六月定例会 一般質問 終わり)

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