2012年 3 月 5 日
盛岡市議会三月議会
一般質問

 絆の会の鈴木一夫です.

 まず, 広域連携に向けた取り組みについてお尋ねをします.
 広域連携の目的は, 盛岡のもつ都市機能と周辺市町村の農林業, 環境, 文化, 観光資源などの連携と補完関係による機能強化であります. そして, 自治体のフルセット主義から役割分担へ, 施設の利用分担を含めたあり方が期待されております. 具体的には産業振興・防災・医療・観光・交通政策・文化交流・人事交流など 広域課題については目標年度や数値目標を押さえながら 行政運営を進めることが肝要と認識しております.
 市長は定期的に広域市町村長との会合をもっているわけですが, 最近の回数や課題を含めどのようなことが話し合われ, また, どのようなことを重点に 2012 年度の運営の方向性をお考えでしょうか, 率直な御意見と広域連携の戦略についてお伺いいたします.
 併せて, 周辺市町村から盛岡市への要望事項はどのようなものがあるものか, またそれを市の施策にどのように反映しているものかをお知らせ願います.
 隣の滝沢村は 2 年後を目途に単独市制を目指すことになりました. 滝沢村の市制執行における認識や期待, また都市機能として どのようなことを分担できるものと認識しているものでしょうか.
 現在環境衛生組合, 都市計画事業等組合や消防など 一部事務組合など市町村を跨いだ業務や事務が執行されておりますが, 政策的な方向性から他の分野での合同実施や広域自治体での単独実施から盛岡市に委託依頼はあるものでしょうか. また, 広域連携における経費削減効果はどの程度期待できるものでしょうか.
 私は, 広域連携の理想の姿は盛岡市でいう上位計画である盛岡市総合計画, 各自治体の上位計画をすり合わせた街づくりをすることが必要ではないかと考えます.
 現在, 広域市町村での統一した計画は策定していないということですが, この策定は必要だと考えます. 行政機関を見ていると住民にはお金がないという理由で計画を先延ばしにする一方で 調整に手間のかかる自治体間連携もやりたがらないということで, 周辺部の住民からは 「端っこ扱い」 されているという声も聞かれてきます. 端っこ扱いを解消するためにも広域連携をする必要があると思います.
 特にも広域連携で期待される分野は, 医療政策, 産業振興や観光施策と交通政策です.
 医師確保が叫ばれる中, 盛岡市では現在医師不足も救急患者のたまい回しも無い状況が維持できております. 医師確保を含む医療対策についての広域の課題を盛岡が丁寧に対応することが役割であると思います.
 産業振興策, 特に, 企業誘致は市単独で行うよりも用地確保や相手方の印象, 盛岡市への波及効果を加味して盛岡広域圏の総合力を発揮することが必要だと認識します.
 観光産業は, 盛岡にない大規模なスキー場のある雫石や八幡平市は盛岡の観光の目玉だけでなく一つのステイタスシンボルにもなります. また, 交通政策では, 広域の道路建設完成年度の調整しかり, 医療機関や文教施設へのアクセスも交通で処理されます. 運輸施策でみると巣子駅でのパークアンドライドは, 滝沢村の施策ですが盛岡市の交通量を減らす効果もあります. 盛岡広域の駅にパークアンドライドを組織化し, 共通のロゴマークを作るなどして 広域で交通問題を解決するというような政策連携が必要ではないでしょうか. 各自治体間で完結しているコミュニティーバスの市町村境を越えた共同運航や 学校の入学など 生活圏を前提とした政策の実施は広域連携の一つの姿だと認識します.
 ドイツで行われている交通運輸連合も都市機能をうまく分担する手段として活用されており, 先進事例として参考になります. 大阪市は, 市営交通を周辺市にも延伸し連携しており, 広域における中心市の役割を示しております.
 また図書館の貸し借りの互換性の発揮, また観光地図の広域の掲載などは他自治体でも取り組まれております.
 是非広域連携の実のある成果を期待するものです. ところで市町村連携と県の振興局の絡みや, 県の計画との整合性についてはどのようになっているものでしょうか, この点についてもお知らせ願います.

 つづいて, 景観施策と無電柱化の促進についてお尋ねします.
 日本は, 高度経済成長を経て 1968 年からは西ドイツを抜き 世界第 2 位の経済大国としてその経済力を誇ってきました. 昨年中国に経済規模で抜かれたと報道にあり, 少子化高齢化, 失われた 20 年という言葉に象徴される縮小均衡の状況や内向き体質を指摘する声もあります. しかし, 世界全体からみると治安は非常によく, 社会秩序は守られ, 水も美味しく水道水をひねると飲み水が出てくるインフラの完備, 固有の文化の保有と完成度の高さ, 国民所得が高く学生でも 1 カ月アルバイトすれば海外旅行に行くことが出来る経済力, 男女とも平均寿命は世界一でありある意味理想の社会を手に入れたと見ることもできます.
 先人のご努力に敬意を表しながら, 次の時代をどのように継承し, 築くのかが, 政治の役割と考えます. 今後の日本の大きなテーマは, 景観を含む住宅政策の強化による豊かさの実感ではないかと考えます. 住宅政策の完成度をあげ, 景観に象徴される生活者の豊かさが実感できる街並みがあれば, 世界中の人の羨む国になると確信しております. 地方自治体の大きな役割であるまちづくりについて, 盛岡市の景観行政や住宅施策についてお尋ねをします.

まず, 屋外広告物の規制や監視体制についてですが 中核市移行に伴い景観行政も県から市へ移行しました. そして現在屋外広告物の管理を行うための業者の登録を行っており 行政指導や研修も行っております.
 違反広告物とその取り締まりについては, 現在どの程度進捗をしているものか, 行政指導により撤去された看板の数や現在交渉している件数をお知らせいただきながら, 今後の課題についてお示しください. 市民参加による違反広告物の撤去をしているようですが その進捗や参加の状況はどうでしょうか.
 景観行政の浸透と感性の醸成において教育との連携はできないものでしょうか. 教育の一環としての河川清掃はよく聞きますが, 違反広告物の撤去や落書きを消すことについて児童生徒を巻き込んでいくべきと考えます, 如何でしょうか.
 マンション建設に伴い岩手山の眺望が遮られるという意見はよく市民から出てくるこ とであり これまでも市議会上でも質疑が出されました.
 岩手山や姫神山の景観を借景として楽しむことを含め花火が見えるとか, 川が見える等, 住む楽しみ, 景色を楽しむ豊さは, 街づくりの基本ではないかと認識します. 景観問題ででてくるマンション建設についてですが, 現在市の把握している今後のマンション建設計画・場所と戸数, その建物の高さに対し, 市が策定している景観行政との整合性について改めてその見解をお示し下さい.

 つづいて廃屋の問題と空家の管理, またその条例化についてお尋ねをします.
 今冬の積雪で改めて空家の管理やその存在を考えさせられました. 他自治体では空家の雪おろしが出来ずに屋根の雪の重みで家が崩壊するという報道もされるにつけ 所有者の管理責任をはっきりさせる時期に来ているのではないかと強い危機感を持ちました.
 空家や廃屋は単に管理上の問題のみならず, 交通量の多いところの廃屋については景観上の美観上, 都市の品格に繋がる問題もあるものと思います.
 空家率を考えたときに所有者に対する指導・監督をする法的根拠を確立し 市民生活の安全と景観など街づくりについて市の毅然とした姿勢が私は必要であると認識します.
 市は空家率を把握しているということですが, うち廃屋数は調査しているものでしょうか.
 空家の対応については, これまでも一般質問で提起しましたが, 空家対策には, 自治体が条例を施行し, 適正な管理の指導を行うような対応をとっている事例も増えてきました.
 持ち主の役割と義務を明記した上で指導をする必要があると認識します. 市長の考える空家対策とこの条例化についてのご見解をお聞かせ願います.

 景観法に規定される景観地区としての規定には, 高さ制限や意匠の指定があります. 歴史的建造物群や美観地区への適応というだけでなく 盛岡の全体の住宅を美観地区のように整備することが理想とする21世紀の住宅政策ではないかと認識します.
 鉈屋町の街並みも多くの市民の声や地道な活動の成果でありますが, 歴史的景観の保全だけでなく 今後の地域づくりとして美観とまちづくりを調和よく取り入れることを提起したく思います.
 自分たちのすむ街並みも例えば 「かわいらしい建物で統一感を出したい」 「和風建築物の集合地区として庭や建物だけでなく, 面する道路も一体となった地域としたい」 などこれからの街づくりに景観法に合意した住民をもって地域づくりをする取り組み はできないものでしょうか.
 大橋川や洞清水のように 市民協働のグラウンドワークによる公園づくりが行われておりますが, 公園から範囲を拡大し, 町内会単位・地域単位で自宅の庭を含めて住宅の色合いの協調など 景観を良くしていく活動はできないものでしょうか.

 無電柱化・電線地中化と景観についてお尋ねをします. 八幡通りでの電線地中化も完了し, 盛岡八幡宮までの通りがすっきりした景観になりました. また, 現在では菜園通りが地中化をしております.
 市役所まえの中央通りなどは地中化をしているわけですが, 現在盛岡市内の道路の何%が電線地中化をしているものでしょうか. また今後の地中化の計画についてお聞かせ下さい.
 先ほども述べましたが, 日本の政策面での大きな課題は住宅政策と景観ではないかと認識しております.
 電線は, 日本らしい街並みです. ただ景観が意識されてくるとどうしても景観と電線は調和がとれないと私は感じております. 景観を大切にするヨーロッパや米国の国は, 一般の住宅街も電線地中化を推進しており, 地中化するだけではなく, 建物の調和にも気を使った街並みを形成しております.
 人口密度が違う以上住宅の面積などいちがいに比較をすることは困難な部分もありま すが, 景観重視を浸透をさせること, 特に, 電線地中化に向けた方向性を打ち出す時期に来ていると思います. 日本庭園の美意識や寺院仏閣に代表される建築技術の高さやわびさびなどの感性に加えて自動車や半導体に見られる高度な技術力, 震災時に発揮された連帯と秩序という感性を持ちながら, 街並みを見て見ぬふりをしてきたこと, 今後は世界に通じる街並みを作り出していく心意気を政策課題の上位に据えた街づくりへ舵を切っていくことが必要だと思います.
 ここで, 盛岡市が世界に通じる街並みになるために 「30 カ年計画で電線地中化都市となる宣言」 を行うことを提案したく思います. 区画整理事業のようにこれから新設する街並みは最初から行うことはもちろんでありますが, 将来道路網計画に位置づけられた道路はその時点で, その他の既存の市街地は老朽化した上下水道管の交換時期に合わせて無電柱化をしていけば, 30 年後には市内の電線を地中化できるのではないでしょうか.
 また老朽化した住宅の建て替えについても 意匠や庭づくりなどを統一感を出すような方向性を打ち出し 建物と景観を意識づけていく仕掛けづくりも合わせて行うことで, 地域に豊さと潤いそして誇りももつ地域づくりが出来ると思います. この点について市長はどのようなご見解でしょうか, お考えをお聞かせ下さい.
 その端緒を開く意味でも, 住宅街一帯の電線地中化の補助事業などは出来ないものかもお知らせください.
 現在市では都市景観賞を策定しております. 個々の建物の受賞には敬意を表するものです. ただ, あくまで建物だけであって街並みとの整合性は考慮されていないこと認識します.
 都市景観賞の団体受賞や地区受賞制度の創設を含め 新規の街並みを評価する制度の創設はできないものでしょうか. また受賞を競わせるためにも住宅展示場や建築士に都市景観賞の更なる普及を図るべきと思います.
 市長の行うハンギングバスケットも花をもってうるおいをもたらすという意味合いも あることと思いますが, クモの巣にも見える電線によってバスケットの花も台無しとまではいきませんが, バスケットの見え方について街並みや景観との整合性を取った方がいいと感じます.
 花の日本一の次は, 市内の電線地中化率日本一を目指す 「街並みの創造」 を是非テーマとしていただけないものでしょうか.
 無電線化を行い住宅街の景観をつくりだし維持することは 都市の付加価値を上げることになります.
 きれいな街なみであれば, 草むしりの徹底はもちろんでありますが, 著しい老朽化した家の改築の促進, そして自らの地域に愛着をもつきれいなまちの推進に寄与する効果はあると思います.
 2018 年の冬季五輪は韓国の平昌 (ぴょんちゃん) で開催されます. 南半球では施設的にそして雪の質の面からも冬季五輪を出来る国はないと思いますので, あと地球を何周かすれば日本の順番がやってくると思います. 札幌, 長野の次は東北です. その際に, 岩手山を中心とした街並みに優れ城下町の街並みの調和と垢ぬけた住宅街を持つ盛岡が世界から街づくりを称賛されること, そして五輪の主会場になり世界に通じるまちを完成させることを最終目標に据えることにしたら如何かと思います.
 世界の人から見られても恥ずかしくない (程度) の街並みとしてということも加味をすることや 2016 年開催の 2 巡目岩手国体の主会場がとれなかった雪辱を果たすためにも 五輪を盛岡で行うという世界を意識した街づくりを是非行ってほしく思います.

 つづいて教育についてお尋ねをします.

 まず郷土を愛するこころの醸成についてお尋ねをします. 郷土愛の醸成というと抽象的でありますが, 非常に重要な要素であると認識します. 高度経済成長期, いわゆる田舎コンプレックスがはびこり, 東京に対する後ろめたさすら世代によっては醸し出していたと感じております.
 高速交通体系の確立や相対的な発展により首都圏と盛岡の生活格差は, 所得など一部に差があるものの地価などを考慮するとその点は吸収できると認識するわけですが, いわゆる格差は感じなくなり, むしろ田舎ぐらしの豊さが着目されております.
 私の経験では, 他の地区の人に対しお国自慢をすることで地域の誇りを再確認した経験があります.
 郷土を誇りに思うことは, 文化や食べ物, 四季のはっきりしている自然豊かな郷土であるということに行き着くわけですが, 郷土愛の醸成についてどのように教育で行われているものか, 小学校課程および中学校課程での取り組み状況をお知らせいただきたく思います. その中で重要なことは児童生徒が自ら発見することではないかと認識します.
 このような 「考える」 ということについては特にどのような施策を行っているものかをお聞かせください.

 つづいて, 大学進学と進学率について伺います.
 東京大学は今年 1 月 20 日秋入学への全面移行を発表し, 教育界に大きな衝撃が走りました. 秋入学の議論はかつての臨時教育審議会での答申でも提起された課題でありましたが グローバル化の中で国際競争力の維持の環境の変化でついにこの提言が実行される時が来たと私は感じました.
 すでに大学全入の時代を迎えており, その大学も 20 年も前から大衆化や偏差値による学力輪切りの弊害が指摘されており 大学の自己保身が, 今日の国際化や人材確保に課題噴出に際し矛盾を表したものと認識します.
 また今年の高校入試も願書出願調整後の倍率は 0.99 倍と 1 倍を割り込み 岩手県の高校入試も全入の状況となりました. 少子化の進行に加えて, 震災の関係で県立高校の定員削減をしなかったことがその原因とされておりますが, このような高校無競争時代は何らかの弊害はでてくると認識します.
 東大の秋入学ということについて教育委員会はどのような見解を持っているのか. また, この影響をどのように分析しているものでしょうか.
 ところで, 昨年度も指摘した盛岡市立高校の願書出願者数についてですが, 特にも特進クラスで今年も定員割れとなりました. 市内県立のナンバースクールや私学の進学クラスと比較してどのような点で人気がでなかったのか分析はできているものでしょうか.
 また特進クラスができてから卒業生の進学や社会での活躍ぶりなど特進クラスの成果 はどのような分析をされているのでしょうか.
 ここでお尋ねをするのは, 市立高校に限らず高等学校にとっては, 大学進学率が上がることは良いことなのか, どうなのかということです.
 高等学校の比較に国立大学に何名合格という競争があるわけですし, 週刊誌のネタにもあげられていますが このような風潮を変えていく必要があるのではないかと認識します.
 教育界は大学進学率を向上させることに躍起になってきましたが, フリーターの問題やモラトリアムとしての進学など大学進学の弊害も出ていると認識します.
 学力向上により 「上の学校」 へ進学させることよりも, 職業教育や社会教育などキャリア教育を充実させることや, 株や投資なども含めた経済教育や借金はなぜできるのか そして増えるのかという金銭感覚を磨くことが必要ではないでしょうか. 高校全入の時代と授業料無償化は事実上の義務教育という見たかも出来ます.
 高校終了後, 大人としての自覚が生まれる高校教育が必要と思いますが, 中学生を送る立ち場として高校改革をどのように進めていけばよいかご見解をお聞かせ願います.
 また, 英語教育は今後ますます注目をされてくると認識します. 実際に, 日本の企業でも積極的に外国人を採用する動きや TOFE Lの点数による評価, また社内共通語を英語とする企業も登場するなど, 国際化・グローバル化の波の中で今後の教育界はどのような方向性を示していくつもりでしょうか.
 小学校課程での英語教育を含め今後の英語教育の方向性や 日本人としての自己同一性についてどのような認識をお持ちかお考えをお聞かせ下さい. 特に英語を話すだけではなく自国の文化の理解や歴史観, コミュニケーション能力が国際化には問われます. 英語を話すことが仮に出来なくとも尊敬をされる人がいるという人との交流については英語教育の過程でどのように指導されているものでしょうか.

 学力向上策についてお尋ねします.
 教育改革の議論では, 小学校や中学校での留年を実施する議論もでているようです. 現在は出席日数がほとんどない生徒も進学ができ卒業する状況であると聞き及んでお ります.
 本人や保護者の了解があれば留年という選択もでてくると思いますが, 教育委員会での運用はどのようなものでしょうか.
 参考までに小学生や中学生で不登校や出席日数の著しく学力が足りない生徒はどのよ うな状況となっているものでしょうか.
 現在市内の小学校や中学校での学力面や出席日数などの留年の基準はどのようになっ ており, それをこれまでどの程度実施してきたのかについて教育委員会の実施状況をお聞かせ下さい. 教育的配慮で中学校を卒業した生徒がその後どのような進路を経ているのかその追跡調査はできているものでしょうか.
 長期欠席児童生徒が卒業した後, 教育委員会から所管する福祉分野の事務所への移管状況や, 当時担任教諭への聞き取りなどを含めた措置については如何でしょうか.

 以上です.

(盛岡市議会三月議会 一般質問 終わり)

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鈴木一夫後援会事務所 © 2012年3月7日
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