2015年12月14日
盛岡市議会 12月定例会
一般質問

 平成28年度予算編成について基本的編成方針と重視する施策についてお尋ねをいたします。
 平成28年は希望郷岩手国体・完全国体が開催され、また玉山合併から10年の節目となり、3月26日には新幹線新函館北斗開業、18歳からの投票の開始がされるなど市政運営の大きな節目の年であると同時に、若者をしっかりとりこんで市政運営をしていく姿勢も求められてまいります。
 また、今年度やり残しである待機児童対策について再挑戦の課題もあります。最新の待機児童数を合わせて来年4月1日ではゼロ達成は達成可能な体制づくりができているものでしょうか。
 平成28年を迎えるに当たり市長の4期目の予算編成で特に力を入れたい分野や岩手国体開催における意気込み、また国体で高揚した市政をどのように国体終了後発展継承していくのか市長のご見解をお聞かせ願います。
 またプロジェクトとして実施されている子育て支援、岩手国体、きらりおでんせ観光プロジェクトの三大プロジェクトの進捗と次年度更にブラッシュアップさせたい内容があればお聞かせ願います。

 ところで今12月定例会には1億4,800万円の補正予算案が計上されておりますが、例年計上されている9月決算での残額の公共施設等整備基金への積立が今回は見送られました。 この理由は、どのようなものか、今年度だけの対応になるのか、それともかねてから指摘してきた当初予算への計上に移行するのかを含め今後の方針をお示し頂きたく思います。
 合併時の地方交付税総額の特例措置いわゆる算定替は、合併11年目から段階的に削減されることとされております。 合併時の制度設計は一体化の醸成は10年で完結し、11年以降は合併の効果を生かしてとありましたが多くの自治体では自立した財政運営にはなお、時間がかかるようです。
 盛岡市では11年目以降の残事業施策の展開を図っていくとしております。 盛岡市の減額の影響額はどのように見込まれるのか、また、算定替がなくなった場合現在と比較して交付税はどの程度減額となるものかをお示し願います。
 また、算定替が無い場合における新市建設計画の場合ですと、その分旧市に影響が出るものか財政運営上の課題についてお知らせ願います。

 また主要3基金の今後の積立方針とあわせて、基金積立重視から政策展開への転換点はどの程度の基金額と見積もっているものかについてお知らせ願います。
 国のひも付き予算に加えて課単位、部単位で結束する縦割りに加え市庁舎の分庁舎体制が硬直した運営に輪をかけていると感じております。
 枠配分方式にくわえ、予算の一律カットなどの手法が結果現場の政策推進力や職員の意欲、企画力を弱める副作用をもたらしてこなかったのか、特にもハード事業については新規のものは無理という風潮も感じますが、これら枠配分方式採用における市政運営の総括を頂きたく思います。
 その上で、市長4期目で指導力の発揮できる立場から枠配分の弾力的な緩 和や相乗効果の出る事業の展開を期待したく思いますが、どうでしょうか。

 つづいて、MICEふるさと納税についてお尋ねをいたします。
 MICE での観光コンベンション誘致については、今年度はからはじまっております。 これまでの実績や外部経済効果、次年度以降の取り組みについてはどのような見通しでしょうか?  ところで、MICE に2,400万円計上して都市間競争で優位になる施策をしておきながら、ふるさと納税では都市間競争はしないとして特段の施策を行っておりません。
 投下した資金から経費を差し引いた真水の部分が多く残れば、MICE もふるさと納税も同類だと思います。市の施策にこのような温度差があるのは、どのような政策判断なのか、理由をお示し願います。

 義務的経費増大に伴う施策についてお尋ねをいたします。
 人件費、扶助費、公債費の義務的経費のうち高齢化や若者の貧困化に伴う義務的経費増大が市政運営で大きな課題になっております。 この中で、扶助費の執行に際して、自治事務と法定受託事務の割合についてお尋ねをいたします。 基礎自治体の役割である福祉の増進ですが、法定受託事務に一般財源を加えた形が市の福祉予算であると認識をします。
 現在、扶助費は年々増加をしているわけですが、法定受託事務と自治事務に区分けした場合、この10年で概ねどのような傾向が分析できるものでしょうか。
 法定受託事務における市負担分とあわせて、市単独の施策の傾向についてであります。 市の福祉予算規模の何%が自治事務と分類されるものでしょうか。 住民の福祉充実のニーズに対し、国の助成枠が硬直化しており市単独補助を充当して福祉の増進をどの程度図っているのかを確認する意味でお聞きをいたします。
 またこの状態は、仮に消費税10%増税がされれば負担割合や事業の推進力はどのように変化すると分析をしているものでしょうか。
 ハード事業とは違い、国の制度設計外の医療費助成や諸手当の独自給付の事業実施に二の足を踏む要因は、自治事務での負担増であります。
 自治事務としての盛岡市として新規事業の展開や負担増に対する対応についてはどのように行っていくつもりかを確認したく思います。

 連携中枢都市は、先の10月議会での宣言、そして事業の概要からハード事業は伴わない訳ですが、連携中枢都市予算編成元年となる28年度予算編成方針においてどのような点が重視されてくるのか、あるいは見通される平成28年度事業はどのようなことが想定をされるものでしょうか。 8市町で共通した施策における按分を含めた予算執行における方向性や事業案があればお知らせ願います。
 また、人事交流について、相互の行き来を含めた施策はどのように展開される予定なのかをお知らせ願います。

 つづいて交通政策についてお尋ねをいたします。
 盛岡市は平成23年から32年を事業期間とする盛岡市都市計画道路整備プログラムを策定し、梨木町上米内線や岩手飯岡駅南公園線、都南川目道路など工事区間を延伸させながら整備をはかっております。 この10年間の実施計画は今年度が折り返し地点となりましたが、6,800メートル、155億円の当初の事業計画に対し、進捗および事業費ベースではどの程度の執行となるのでしょうか。 総括をお願いしたく思います。
 さて、道路整備プログラムは5年目で半分が過ぎて見直し作業に入るとお聞きしておりますが、この見直し作業において留意している点について、またどのような課題が見えてきたものか、また、連携中枢都市宣言との兼ね合いや隣接市町との交通環境改善の整合性等を含め、当初計画では想定しえなかった社会環境の変化を含め、後半の5年で実施する際の方向性について、また、議会や市民に素案が公表される時期についてお知らせい頂きたく思います。
 その中で地域住民の整備要望についてはどの路線で頂いているものか、後半の見直し作業でこの点はどのように反映をされるものかについてもお知らせ願います。 市道津志田白沢線については、矢巾町側は全線開通をしており盛岡市側は用地買収に手間取っておりますが、矢巾町境から北進する施策が位置づけられないか、についても合わせて要望したく思いますがどうでしょうか。
 また、盛岡西パイパスの中央卸売市場方面への延伸については都市計画への位置づけはまだなされていないようですが、計画がない道路を要望することはどのように理解をしたらよいものでしょうか。
 そもそもどこに南進していくのか、矢巾町との協議はどの程度すすんでおり、矢巾町側の都市計画に位置付けられているものかを含め盛岡市が国要望に示している中央卸売市場への延伸の法的・手続き的根拠や整備手法、想定される事業区間や事業費についてお聞かせ頂きたく思います。 また事業主体は国で国道46号線の延伸による国直轄方式での整備を望むと理解をしてよいものかについてもあわせてお知らせ願います。

 つづいて、山田線大志田駅浅岸駅の廃止ならびに宮古市との連携による山田線の活性化についてお尋ねをいたします。
 さる11月24日の市議会全員協議会において山田線の大志田駅と浅岸駅の2016(平成28)年3月26日のダイヤ改正で廃止の意向が示されました。 大志田駅は一日0.4人、浅岸駅は一日当たり0.3人の利用者であることや山田線の効率的な運営のためとの理由が示されております。
 この両駅は12月1日から3月31日まで冬季休業をしていることを考えると事実上の最終営業日は11月30日であり、何ら対策を打てずに有無を言わさず廃止という対応と感じた次第です。

 この両駅の周りには定住人口があり、住民からは存続の意向が示されていたこと、盛岡市としても存続の要望を行っているとのことですが、今回の廃止決定について市長のお考えをお聞かせ下さい。
 駅の利用者が極端に少ない駅を「秘境駅」と呼ぶようですが、秘境駅は観光資源であるということで活性化する取り組みが行われおります。 北海度幌延町では、町内に8つある駅のうち6つの秘境駅の活性化のために、この10月31日と11月1日に秘境駅フェスタを開催。 鉄道系遺産の活性化のイベントを大々的に開催。 シンポジウムやレトロバスでいく秘境駅めぐりを開催して多くの集客を行いました。 町の鉄道系交通の危機感の裏返しともいえます。 また北海道豊浦町では室蘭本線小幌駅の廃止報道をうけて、存続にむけた動きを展開、維持費の一部を町が負担する条件で廃止先延ばしを達成したなどの動きがあります。
 盛岡市の場合は、廃止決定となったとのことで、非常に残念に思うわけですが、この教訓を踏まえると、改めて、鉄道の活性化に力を入れるべきと考えます。 例えば、同じ公共交通であるバスと IGR 等が連携し、バスの日祭りと鉄道の日祭りを連携して行うことはできないものでしょうか。

 この両駅の廃止理由は、そもそも、駅の利用が少ないということですが浅岸駅などは朝6時台と夕方19時台に上下各一本の列車しか停車しておらず、冬季間は閉鎖で利用阻害を行っておきながら利用者がないというのは、廃止に誘導する策があったと見るべきではないかと考えております。
 山田線には並行して宮古盛岡横断道路が高規格で建設されており2020年に全通の予定です。 「山田線の2020年問題」つまり山田線の廃止がカウントダウンされたのではないかと私は見ております。
 ここにきて11日に宮古市門馬地区で土砂崩れとそれによる脱線事故が発生しました。 お怪我された方にお見舞いを申し上げるとともに、原因究明とあわせて鉄路による一日も早い復旧がなされるよう祈念をするものです。
 廃止された岩泉線は土砂崩れと安全対策費が廃止の理由でした。 鉄道の廃止には代替輸送の確保が問われます。 ところが公共交通の運行の困難な大志田駅と浅岸駅が廃止となれば、代替輸送確保の理由がなくなり鉄道廃止のネックがはずれるというものです。
 採算性は大きな要素です。 しかし、ローカル線維持には民営化時の制度設計が存在します。 つまり、国鉄改革の趣旨は新幹線や大都市圏からの内部補助により地方鉄道を維持する制度設計であり、これは国民との約束です。
 また、国鉄末期は、全国の赤字ローカル線を77路線廃止しましたが、この77路線の赤字660億円に対し、東海道本線一線だけで赤字は1,300億円ありました。 不採算の問題がローカル駅やローカル線の運営の課題にすり替えられぬようJR東日本の経営状態も検証する必要があります。
 JR東日本会社の2015(平成27)年3月の決算をみると1,800億円余りの黒字を計上しており、株主の配当も出しております。 先にふれたJR北海道の経営体質改善による駅廃止の問題とは本質的に異なる構造と見てとれます。
 山田線については、廃止を警戒して最大限の利用喚起策を展開するべきと考えます。 盛岡市と宮古市が共同して県や三陸鉄道を巻き込み活性化協議会を設置して、国のメニューを取り込みながら盛岡~宮古間の利用の喚起策や観光需要を取り込んだ施策の展開を組織的に図っていく施策を早急に立ち上げてほしく思います。 宮古市役所は被災した関係で市役所を宮古駅そばへ移動する計画をつくっております。 山田線活性化は盛岡市が出来る復興支援です。
 これらを含め、市長のご見解をお聞かせ願います。

 いわて花巻空港と盛岡市との連携強化ならびに LCC 就航の可能性についてお尋ねをいたします。

 盛岡市は広域8自治体による連携を図っておりますが、都市間競争を考えると空港が無いというのは痛手であると認識をしております。
 県内には花巻空港があり、札幌・愛知小牧空港・大阪伊丹・福岡の各空港へ計11便就航しております。
 近年の花巻空港の利用者数の推移はどのようになっているものか、また利用者のうち盛岡市民の利用割合はどのような状況でしょうか。
 アクセスバスは盛岡駅から空港まで30キロ1,400円です。 盛岡~仙台180キロ2,980円と比較すると需要と供給とはいえ割高感を感じております。
 以前1,000円のバスを走らせておりましたが、アクセス面の改善はできないものでしょうか。 また、航空業界は価格競争の時代に入っておりますが、花巻空港発着の航空機は、割引率が低いと感じます。 盛岡から札幌にいくのに仙台まで新幹線でいってもまだ仙台空港発着の方が安くて便利であれば潜在需要を取りこぼしていると感じます。 無料駐車場があること、航空機と競合する場所では鉄道側の割引率も高いことから、航空機利用促進に向けた動きに対し盛岡市も積極的に関与できないか、問うものですがどうでしょうか。
 羽田便の復活や成田線の新設はもちろんですが、定期国際線については台湾以外のアジアの国、特にもアジアの新設の LCC の招聘はできないものでしょうか。 国際線の場合近隣の空港と共同で招致を行い週のフライトを分け合いながら回遊性も確保することも視野にいれるべきです。
 中国の LCC 春秋航空はキャンペーン価格として佐賀、高松~上海までの片道航空運賃を1円に設定するなど LCC 就航は旅行を革新させる効果もあります。
 花巻空港の発着料は他の空港と比較してどの程度の水準なのでしょうか。 融通を利かせることにより LCC の就航や、就航支援策を図り、空港の活性化が展開できないかを問うものですがいかがでしょうか。
 また連携中枢都市は8自治体に限るのか、空港を広域連携に位置付けていくことや花巻市を加えていくことはできないか、ご所見をお聞かせ願います。

 日本遺産認定についてお尋ねをいたします。
 日本遺産の目的は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語るストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を,地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより,地域の活性化を図ることとしています。
 平泉あるいは釜石の橋野高炉の世界遺産登録との違いは、世界遺産は世界的に重要な文化財や自然環境を国際的な協力のもと保護しようとするものでユネスコが登録しているもので目的は「保護」でありますが、日本遺産は文化庁が認定し、魅力を国内外にPRし、観光客を読み込む等地域の活性化につなげるのが狙いとされております。
 2015年(平成27年)4月に第1号の認定がされ国内の18のストーリーのタイトルがあり、2020年の東京オリンピック開催までに国内100余りまで増やしていく方向が示されております。
 今回第1陣として認定された18の日本遺産には近代教育遺産群、京都の伝統文化、日本茶800年、四国遍路などがあり、単独自治体での申請のほかに、複数の自治体でも申請されております。
 認定されると多言語通訳やガイド育成を国が支援するという仕組みとされております。
 今回の申請は関東から九州地区までの太平洋ベルト地帯の印象があるわけですが、盛岡市としてはどのように日本遺産をとらえているものでしょうか。
 また第1段には83の申請に対して18件の登録でしたが、83件の申請に含まれているのかどうか、他自治体との共同による申請の打診があったものかどうか、お知らせ願います。
 盛岡市の歴史遺産や文化遺産あるいは景観は広く世界に発信が出来る素材が多く存在するのではないかと考えております。
 岩手山や姫神山を代表とする景観、舟運をはじめとして川を軸に栄えた城下町やその石垣や街並み、盛岡八幡宮の山車やチャグチャグ馬コ、さんさ踊り、舟っこ流しや田植踊、神楽など伝統行事や伝統芸能、大ケ生の金山遺跡など近現代史に繋がる黄金文化、生活と馬が一体になった地域民俗、志波城跡など史跡があり価値づけやストーリー性を色づけしていくことでものに価値が高まってまいる素材が多くあります。
 盛岡のこれまでの観光の取りくみに推進力をつける意味で日本遺産の登録は不可欠ではないかと思いますが如何でしょうか?  また、市として日本遺産に向けた取り組みを行う予定であるのかどうかをお聞かせ願います。
 2013年(平成25年)に和食が世界無形遺産に認定されました。 毎日の食事が世界遺産とはずいぶん恵まれた民族だと思いますが、それだけ世界の日本の文化への注目度があるといえます。
 訪日観光客が2,000万人台を目指す中、東北6県における外国人観光客は全体のわずか1%であり、大変寂しいものがあります。
 私が国内の観光地や160を超える祭りを見学して思ったことは、盛岡市には充分に宣伝できる行事があるが、地域資源の価値づけや情報発信をしっかり戦略的に図る必要がある、ということです。 また、盛岡単体で行うのではなく、他自治体との協調を図っていくべきではないかと考えます。 盛岡市の地域おこしを見ていると、B級グルメグランプリしかり、ゆるきゃらグランプリしかり多くの自治体や主催者が集まり総合的に盛り上げる手法には参加していないように感じます。 もっと総合力をテコにした街おこしを展開してほしく思います。

 盛岡の素材を総合力というテコで引き上げるなら「お盆」という素材があると思います。
 盛岡では町家の迎え火送り火は幻想的で黒川さんさと町家の連携は見事でありますし、舟っこ流しは全国版ニュースにも取り上げられる送り盆の行事です。
 国内を見渡しますと、京都五山の大文字焼き、長崎県など九州地方にある精霊舟、岐阜県の郡上おどり、富山市の「おわら風の盆」、東北では西馬音内盆踊り、盛岡のさんさ踊り・舟っこ流しなどお盆の行事や風習が数多くあります。
 お盆をストーリー性をもって組み立てることで日本遺産として規定をして、しいては世界無形遺産へ展開を図り日本文化の重厚さ世界に発信をしていくという取組みができないか、またこの意見についてどのようなご見解をおもちかをお聞かせ願います。

(盛岡市議会 2015年12月定例会般一般質問 終わり)

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