2016年3月3日
盛岡市議会 3月議会
一般質問

 産業は常に地方の盛衰を決める要素であり、市政運営では最大の課題の一つであると認識をしております。 国は、地方創生を打ち出している一方で、緊縮財政が継続した市政運営でこの10年節約と工夫に精力がつぎ込まれて、内向きな体質になってしまったのではないかと感じます。 好景気をしらない世代をロストジェネレーションというようですが市職員のロストジェネレーション現象がでているのではないでしょうか。 将来の盛岡を担う発想豊かな人材が育っているものでしょうか。
 地方再生の大きなカギは、産業に対する助成もさることながら、市政を運営する職員の教育、つまり、世界を俯瞰してみる発想と盛岡の資源と人材を如何に活用していくのかを企画していける人材の育成であると感じます。
 人材がいなければ、産業界の要請を受けても議会で質疑をしても人材の枠でしか政策推進が出来ないということになりかねず、構造的な衰退線をたどるということになります。
 仮に大きな補助金を確保しても宝くじに当たったかのような発想で支出をしてしまうのではないか、と思います。
 このようなことにならぬよう職員技量向上に力を注いでいくことが市民の期待にこたえる市政運営の基本ではないかと感じますが市長は産業振興に欠かせない人材育成をどのように行ってきたのか、民間企業との人事交流の在り方を含めご所見をお聞かせ願います。
 また、産業振興の分野をみると、市の役割のほかに商工会議所など経済団体、指定管理者も登場してくるわけですが、市とこれら団体との役割はどのような施策において区分されているものでしょうか。
 さて、今年度の企業誘致の状況ですが、どのような業種で何社なのか、また地元雇用数と期待される年商とあわせてどの程度の企業へ営業費用をかけて結果に至ったものでしょうか。また、市長はこの結果に対してどのようなご所見をお持ちなのかお聞かせ願います。
 市の産業の大きな打撃は平成22年に撤退した日本たばこ盛岡工場であり、この1社で製造業出荷額の約半分の1000億円の出荷額が減ったことであります。 改めて日本たばこ撤退の影響をどのように分析されているものでしょうか。あわせて市長就任からこれまでの工業出荷額や製造業従事者、商業小売、農業林業、の総生産額や従事者数、所得の推移などについて総括をお願いしたく思います。

 今年度の盛岡市の経済情勢はどのように分析をされているものでしょうか。 住宅着工件数や市民所得、工業出荷額などどの数字を意識し重視した施策を講じているものかをお聞かせ願います。
 また倒産件数とその額、経年的な推移との比較はどうでしょうか。

 さて、28年度北九州市は本社機能を移す企業に整備投資費33%上限5億円を助成する措置を発表、全国最大級の助成と話題を集めました。 首都圏から本社機能の移転を図る地方創生との連動を図るとのこと、雇用数50名以上で固定資産税や法人税の減免も合わせて取り組みとしております。
 また札幌市も道外から本社や本社機能を移転した会社に1名あたり30万円で最大6,000万円の補助金を創設しております。
 これら自治体は盛岡市の企業誘致とは迫力も規模も違った施策であると同時に、コールセンターを空き室に誘致する盛岡市とは着眼点の違う施策であると感じました。
 山形県で研修を受けた際には人工的に蜘蛛の糸を作りだす会社についてお話しを聞く機会がありました。 慶応大学での人工蜘蛛糸の研究に鶴岡市長が熱意をもって招致をし、縁もゆかりもない鶴岡市へ進出。 鋼鉄より強く、ナイロンのような高い伸縮性能のある蜘蛛糸の開発にやがて成功。 当初3名からはじめた研究が人工蜘蛛糸の開発成功、量産の見通しがたったことで出資者が集いまた世界中から企業や従業員の応募あり現在70名を越える従業員となっているとのこと。
 社内では日本語以外の言語が飛び交っているということで夢が結集している実例ともいえるものです。 この会社は、上場すれば莫大な売却益は間違いなしとされております。 ここでは研究1年目の段階で夢にかけ誘致を図った鶴岡市長の英断が大きいと総括されております。
 これらの例は、産業振興については他の地区からの大規模な投資を呼び込むことで達成をするものであります。 今年度から MICE 誘致の助成を講じましたが、くわえて本社誘致誘導策を提示し、出きれば上場会社の誘致を行い、用地提供や社員福祉のお手伝い、関連産業の育成に二人三脚で歩む姿勢をしめすことが必要です。 この点について市長のご所見をお聞かせ願います。

 つづいて中山間地域の活性化についてお尋ねをいたします。
 自治体間競争はふるさと納税における贈呈品の競争から次の段階へ、つまり財政支援付き定住促進策が次の自治体間競争の舞台になっていると思います。 離島や山地、へき地だけではなく政令市でもある神戸市でも今年度から新たに北部の中山間地域に農村定住コーディネーターを配置し定住促進に本腰を入れるところからも、若者定住促進策がこれからの自治体政策のカギとなってくるものと感じました。
 私の以前の質疑で盛岡市は特段の若者定住促進策はしないということでしたが、若者獲得策になぜ及び腰なのでしょうか、1市2制度の導入をはじめ民間の協力を仰ぎ、子育て世帯を積極的に中山間地域へ誘導することは今日的な課題であり市の均衡ある発展という意味でも重要な施策です。 まさに市長の決断が必要な事業であると認識をいたします。
 例えば耕作放棄地を無料提供(貸与)する代わりに定住をして頂く地域協力型定住策や定住コーディネータの育成と配置、建設業者へ農業への展開を指南する場合の技術協力者の確保は必須の条件だと思います。 辺地債で建物や自動車を購入するだけではなく、定住促進という種まきを早期に始めることとだと思います。 市民農園でブルーベリーを栽培して年商7,000万円を達成した女性経営者がおられるようですが異業種からの中山間地域へ夢を持って参画して頂く事例を収集して、意欲さえあれば移住できる体制をつくる調整役として市が役割を果たすことが必要だと思います。 市の中山間地域における部課係の発足や地域住民への協力の打診を含め今後の市の中山間地域における若者移住の在り方について改めてそのお考えをお聞かせ下さい。

 つづいて患者輸送バスとスクールバスの混乗の実情と今後についてお尋ねをいたします。
 患者輸送バスは保健所・健康福祉課で運行しており年間1,600万円の事業費を支出しており公共交通困難地区が主な運行対象地域であり住民の医療と健康を守る役割があるものと認識をしております。
 ところで利用者からはバスのステップが高いというご意見、あるいは隔週では本数が少ないというご意見を頂きますが市はどのように利用者の声を把握しているでしょうか。 また患者輸送バスの課題はどのような点にあるものか総括をお願いいたします。
 利用料は無料との事ですが、利用料を取っても運行本数を増便するとか、買い物にも活用できるような経路の工夫はできないものかお尋ねをするものです。
 またこの1,600万円を根拠財源としてショッピングセンターや病院、在宅訪問医療介護機関、宅配便や移動スーパー、送迎バスのある幼稚園、移動図書館と連携して客貨混合便もしくは多目的便をつくり連携した取り組みは出来ないものか、運送業者から企画を頂くことや、市が業務で中山間地域に訪問するクルマの目的を調整し便数増便に結び付ける機会とできないかをお尋ねいたします。
 またスクールバスへ一般利用者を混乗させている地域がありますが利用実態や利用路線・区間、運行経費の算定、利用者の声をお聞かせ願います。

 つづいて外山早坂県立自然公園の現状と姫神山の国立公園への編入の可能性についてお尋ねをいたします。
 外山早坂県立自然公園は外山地区と早坂高原と2か所あり、外山地区は姫神山や岩洞湖、早坂高原は岩泉町との境の早坂高原がその対象域となっております。
 岩洞湖周辺は1970年代の首都機能の移転候補地としての論文が出されたことにより大企業に買占めされ、地域住民が土地買収により移転するということがあった聞きておりますが、オイルショックの前の話であり、その後首都機能移転の熱気は冷め、現在にいたるまで土地活用の予定ないとされております。
 ところで県立自然公園の網がある以上開発ができないということだけではなく、網をかけた県自体がその管理を怠り、尾瀬に匹敵する水芭蕉の楽園ではなくなって笹が生える荒れ地になっているという指摘を地元住民から頂きます。
 県立自然公園に指定された当時の植生と今日の植生はどのように変化をしたのか、指定当時の趣旨と今日の変化について総括をお願いたします。
 またこの網をはずしてほしいとの声を頂くわけですがこれについて協議をする場は出来るのかを含め今後の活用の在り方についてご見解をお聞かせ願います。
 さて人造湖では日本有数の大きさである岩洞湖ですが冬のワカサギ釣りは黒字経営ですが夏場の観光の目玉はないものでしょうか。 私は水陸両用車を一の渡線や天峰山へ運行して普段見ることのできない角度からの観光を楽しむ方法があると思いますがどうでしょうか。 全国的にも青森県や栃木県で水陸両用車がダム湖を運行し乗り物そのものとあわせて観光資源となっております。 レンタルから初めて定着化を図り、地域活性化の目玉として是非ご検討を頂きたく思います。
 また姫神山の十和田八幡平国立公園への編入についてお尋ねをいたします。
 県立自然公園から国立公園への編入は全国各地で見られ地域ブランドの向上と注目度、更には環境省で一括して自然保護や広報が出来るなど様々な利点があると認識をいたします。
 盛岡市には国立公園はその該当はなく早池峰国定公園も主に冬季間しか登山できない毛無森の頂上のみで面的な指定はないのが現状です。
 広く山地に恵まれている盛岡市の自然をもっと全国的に注目させることが必要と考えます。
 全国を見渡すと県立自然公園から国立公園へ編入する動きが見られます。 鳥取県三朝町にある三朝東郷湖県立自然公園の第1種第2種地域が一昨年大山隠岐国立公園に編入されました。 自然や歴史性、文化的な要素が決め手になったということです。 また、昨年和歌山県にある田辺南部白浜海岸・熊野枯木灘海岸両県立自然公園が吉野熊野国立公園に一気に編入されました。 吉野熊野国立公園と連続している海岸美が指定の理由とされており、国立公園化することにより知名度と格段のイメージの向上が図られるとのです。
 姫神山がこれまで外山早坂県立自然公園の一翼として果たした役割は充分尊重しながらも、より一層注目を頂くためと岩手山との眺望の連続性・親和性に鑑み十和田八幡平国立公園に編入できないかをお尋ねするものです。 今年から山の日が国民の祝日となり山に対する注目度が上がってまいります。 山に注目度を上げる大きな起爆剤として本市を代表する山である姫神山の格段の評価を与える国立公園化についてご見解をお聞かせ願います。

 つづいて自主防災隊の育成についてお尋ねをいたします。
 まず、はじめに自主防災隊の結成率の現状と今後の育成方針について伺います。
 3.11震災からまもなく5年がたとうとしております。 また本市を襲った平成25年8・9月の大雨災害もあり改めて自然災害に対する備えとともに安全の確保のために自助共助の対応のために住民の防災隊の育成が必要であると実感しております。
 自主防災隊の現在の結成率はどの程度であり市域の人口の何割が対象となっているものか、また組織率100%はいつになると想定しているものでしょうか。
 自主防災隊を運営する側からすると市の誰が担当者か分からないということを隊員からお伺いいたします。 隊員と市職員、今度できる地域担当職員、常備消防の顔と携帯電話は分かるような関係性の構築はできないものでしょうか。 あわせて防災士の資格を防災隊員が取得するなど地域の技量向上にむけた取り組みはできないものかお尋ねをします。 また体制の強化によりメールで防災情報が寄せられますが、防災情報が活用されているのか、平成25年水害の際の対や組織運営の課題の抽出を含め大規模なアンケートの実施はできないものかお尋ねをします。

 結成後の訓練状況や自主防災隊と市との関係性についてですが、自主防災隊の実力ランキングはできるものでしょうか。 つまり、市の期待する自主防災隊の質を基準点として上か下かを明確化して平均点を上げていく方法を採用していく管理形態が必要ではないでしょうか。
 また昨年10月議会で質問をしたハザードマップで水没予定地域の避難所について遠くの学校より身近な学校の上位階の開放をと質疑をしました。 これについては、検討するということですが、その後どのようになっているものでしょうか。 時間をかけるよりまず地元と協定を結び精神的な安定感を確保することが先決と思います。

 つづいて水道料金についてお尋ねをいたします。
 水道事業においては基本計画である「もりおか水道ビジョン」を今年度定めました。 安全な水道水の供給とあわせ建設事業から維持更新の時代へ移行しつつあると分析し、今後の人口動態から水需要の減少と水道収入の減少を見通しております。
 平成47年の推定される盛岡市の人口は24万7,000人とされておりますが、この人口は昭和49年と同一です。 昭和49年と今日の水道管の延長や施設保有数、供給能力はどの程度増えているものでしょうか。
 つまり、昭和49年から増えた延長分また設備投資で供給能力を所有する分が、余剰ということになり、この施設所有分は受益者負担に跳ね返ってくることになります。
 計画でも老朽施設の維持更新とあわせて技術職員の不足を公表しております。 今後大量退職時代における技術系職員をどのように確保していくのか、育成をはじめて何年で一人前に育つのかを含め今後の人材育成の考え方についてお聞かせ願います。
 設備保有に対し使用量が減っていることや、老朽化対策から今のままで料金を維持できるのかを利用者の皆様は懸念を持つと思います。
 今後の水道料金の在り方についての基本的な考え方についてお示し願います。
 特にも水道管は13ミリ管と20ミリ管それぞれの基本料金や使用料金の設定、大口使用者の料金の在り方を含めご見解をお聞かせ願います。
 過日、香川県では県内一円の水道事業を一元化する方策をしめしました。 県南でも昨年岩手中部水道事業団が発足をして北上を中心に花巻や紫波町が入り広域で水道の供給を開始いたしました。
 盛岡市は隣接自治体との水道管の連結は行っているものの施設相互利用には至っていないと思いますが、余剰施設の活用として、また技術職員確保の意味もふくめ広域化という選択肢はあるのかどうか、検討はされているのか、開始時期が決まっているのであればご見解をお聞かせ願います。
 水道水の質についてお尋ねをします。
 盛岡市では水道水がおいしいということでペットボトルにもなっております。 ところで、市内には浄水場が7つありますがどの浄水場の水がおいしいのでしょうか。 塩素消毒のみしている浄水場と沈殿ろ過塩素消毒を経る水では、塩素消毒だけしている水のほうがおいしそうですがどのような味の違いがあるものかご見解をお聞かせ願います。 また家庭用浄水器の普及についてどのようなご見解をお持ちなのかも合わせてお聞かせ願います。

 成人式の運営についてお尋ねをします。
 今年度の成人のつどいは1月10日県民会館において実施されました。 これまで会場として活用してきた盛岡市アイスアリーナが岩手国体開催のために使用できず久しぶりの県民会館でした。
 成人のつどい実行委員会の運営にあたられた公募の皆様に敬意を表するとともに新成人の益々のご活躍を祈念するものです。
 少子化で成人のつどいの参加者は今後減少するものと思いますが今後の成人数の推移はどのようになるものでしょうか。
 ところで町村の成人式を報道で拝見すると成人式の規模もさることながら同窓会を兼ねているようで盛り上がっていると感じますし、何よりも、首長も記念写真や懇親会に参加して新成人と交流を深めていると感じます。 対象的に大都市の成人式は大会場に詰め込まれ成人式を実感するのはカメラやさんでの写真撮影だけという感じで、会場では個人の存在感のないままに終わっていると感じます。
 ところで市長は成人のつどいの後、退場されますが、新成人と意見交換する場はないのでしょうか。 成人とのつどいが無い市長の姿を見ていると寂しい感じを受けます。
 他自治体の新成人のSNSを拝見すると首長が率先して新成人の中に入って交流する場面が投稿されております。歌を歌って沸かせる市長もいるようです。
 ところで玉山村の時代はどのような規模や内容で成人式を行ってきたものでしょうか。
 盛岡市の場合規模の問題もあるでしょうが、市の幹部や議員と新成人に何か距離があると感じます。 この距離感を埋める方法は無いものかをお尋ねをするものです。

 愛知県豊橋市では市主催の大規模な成人式をやっておらず、各小学校単位で地域主導で成人式を行っております。 小学校単位で卒業した卒業生が自身の学校へ行きそこへは当時指導頂いた教師もいるとのこと、成人式典や記念撮影、思い出のスライドでの紹介に続き、懇親会もあり新成人が参加した実感のある成人式を行っております。 利点はなによりも新成人の居場所があること、荒れないということではないでしょうか。 小学校単位ではなくとも玉山地区や都南地区、盛岡市内も学校単位でわけることをもって一体感の醸成と逆行するという認識は持たれないと思います。
 運営主体の確保の課題はあるものの、地域としては地域の担い手を確認できでます。 大規模に行う形式よりも参加者本位の成人式にしていくという点で大いに参考になる事例と思いました。
 市でも是非参考にされてみてはと思いますが、ご見解をお聞かせ願います。

(盛岡市議会 2016年3月議会一般質問 終わり)

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鈴木一夫後援会事務所 © 2016年3月17日
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