2018年 12月 12日
盛岡市議会 12月定例会
一般質問

「市政クラブ」 鈴木一夫

 はじめに、地域づくりについて伺います。 盛岡市では最上位計画として盛岡市総合計画を定め、そこには地域福祉の推進を掲げており「誰もが住みなれた地域でそれぞれの個性や尊厳を認めあいながら共に生活を続けることができるように、地域住民が互いに支え合う地域社会の形成を推進する」とあります。
 地域づくりは、道路整備や区画整理事業など社会資本整備から、本格的な人口減少・高齢社会の到来をうけて、公共施設の集約化や居住誘導地域の制定など施設活用や土地利用に軸が移ったと認識をしております。
 これから新しく道路や上下水道を整備しても人口減少で分母が減る中では、一人当たりの負担は増えるという認識は市民にも浸透してきつつあると思います。
 将来人口推計はだされているものの、公共料金がどのように負担増になるのか、という試算値の発表はありませんが、現在のインフラをそのまま維持するとした場合、2040年には税負担はどの程度増える見込みなのでしょうか。年収 500万円の市民でみるとどの割合になるものか金額を試算願います。
 盛岡市の人口推計値では 2040年推計値で 247,898人となり 16% の減少と予想されておりますが、この数値は各地区別の人口増減の予想の積み重ねではなく、自然動態と社会動態の推計値です。 盛岡市は政令市ではないため区役所がありませんが、政令市より面積が広く、土地利用や用途も高度利用から工業地域、農村部・中山間地と包含しかつ混在している中で、各地域の活性化を具体的にどのように図るのか、よく伝わってきません。
 民間主導の大規模開発があれば、それはそれといったところでしょうが、これでは都市計画といっても名ばかりではないでしょうか。
 自治体の仕事は基盤整備であり、土地利用は住民や民間という住み分けをしているような状態から一歩踏み出し協調して地域力を維持する施策ができないかとも感じております。
 土地利用の特性の似通っている地区、つまり中心市街地・一般居住地区・郊外型の団地の再生・農村部・中山間地域、それぞれで盛岡市がどのように定住人口の誘導や地域力を維持するのかの地域別の定住人口戦略つまり定住こそ福祉の考え方にたった地域づくりを推進する時代であると認識します。
 人口比率の将来推計値に加えて地域の小学校が維持できることを前提とした定住人口誘導策、新規住宅着工件数の動向、また高齢化率を見える化したうえで一定の高齢化の進む地域の定住策を強化する施策が必要であり地区別の人口動態の進行管理施策の導入をしてほしく思います。
 現在の総合計画とそれに基づく各計画は、市全体を一律のものと捉えた計画ですが、むしろ一律の対応ではなく地域特性に応じ濃淡を敢えて出していく付けた対応はできないものでしょうか。中心市街地における大規模マンション建設には助成がありますが、この考え方を応用して各地域に新築(戸建込)誘導策はできないものでしょうか。
 盛岡市では65歳以上の人口が 50%をこえる限界集落の発生予測はどのようになっているでしょうか。 また、回覧板を回す 5~15戸程度の隣組という単位で見た場合はどうでしょうか?  すくなくとも隣組の単位でいえば限界隣組は普通にあると認識しますが把握されているでしょうか。
 この項の最後に「定住促進こそ福祉」の考え方を進めてほしく思いますが市長のご所見をお聞きいたします。

 高齢化にともなう地域文化活動についてお尋ねをいたします。
盛岡市にはおおよそ 250 の無形民俗文化財がありますが、高齢化や少子化・人口減少、職住分離のサラリーマン社会の定着により、地域行事を継続することが危惧されますが実態をどのように把握されているものでしょうか。 特にも近年、伝統行事をやめた、あるいは、将来休止せざるを得ない団体の現状をどのように把握されているでしょうか(休止あるいは休止する主な行事名をお聞かせ願います)。
 全国区の祭りでもあるチャクチャグ馬コでも担い手の確保や馬そのものの確保が厳しいことが話題となっております。 また、他の祭りで一見参加者の多い祭でも寄付が集まりづらくなったり、特定の人が一人何役もこなしたりして祭を遂行するなど外向きの姿とは違った内情を持つ地域文化活動もあるとお聞きしております。
 他の自治体で行われる祭りを見た際には、祭の担い手が高齢者と公務員、子ども、という祭に何度となく出くわしたことがあります。こうなると迫力がなかったり本来の趣旨ではなく継続のためにやっているといった感がでてまいります。
 民俗文化財の伝承は、個人の情熱や技術によるものが多く記録や保存、その資料の散逸は大きな課題ではないかと考えます。
 民俗芸能は一度途絶えると復活には何倍もの労力がかかることから、常に団体の動向を注意深く見て行きたいと思います。
 市の立場を確認しますが、市内の伝統行事が無くなれば無くなったということで、存続のための支援はない、ということで宜しいのか確認をしたく思います。
 その上で例えば後継者が数名という団体や団体から休止の意向が出ている団体をどのように把握しているものか、今後の盛岡市の地域の人口動態を把握したうえでこの 10年で活動が困難になる団体をどのようにみているものでしょうか?
 私は、市が収集している情報を適宜公開したり、収集している事実そのものを伝え地域の文化祭へ提供するとか、輪番で話を聞く場を設ける等各地域で伝統行事をしている人同士の交流交換の場があってもよいと認識をします。
 伝統行事の発表会がありますが、それは発表会ができる体力がある団体を集めているのであり、もっと踏み込んだ対応を期待したいものです。 特に直接的に担い手確保に繋がる人材発掘に市のネットワークを活用したいというのが本音ではないかと思います。
 また、記録・保存についても市のほうで力を入れているものと思いますが市内の伝統行事はすべて記録・保存はできているものでしょうか。実態をお聞かせ願います。
 またやむを得ず休止となった場合の資料の代理保管、存命中の方からの情報収集の徹底を図ってほしく思いますが、どうでしょうか。
 後継者問題については、市も積極的に仲介をし、輩出出来ない場合は盛岡の他の地区の人あるいは他の自治体に住む人などでも歓迎されると思いますが、そのようなマッチング(出会い)の場の提供を作ってみてはと思いますがどうでしょうか。
 特に地域伝統文化に特化した専門研究家の任用、担い手人材の登録制度の創設、地域の学校が年一度以上は担い手として参加する協力を指針として示す等官民挙げて地域文化活動を醸成する機運を高めてほしいのですがご所見をお聞かせ願います。

 盛岡市では UIJ ターンを通じ移住を促進する事業を展開していますが、成果の程はどうでしょうか。 東京での出張ブースの出店もさることながら、まずは地元における相談窓口を盛岡市役所に加えて盛岡駅構内にある観光案内所に「移住・定住」窓口の設置してみてはどうでしょうか。 移住した先輩である地域おこし協力隊を配置しながら、盛岡へ移住をする魅力発信を行うこと、動画の放映、定住支援情報の提供、定住ツアーの実施などです。 検討頂きたいのですがご回答をお願いたします。

 つづいて盛岡市の拠点性の確保のための都市間輸送の在り方についてお尋ねをいたします。
 盛岡市は北東北の拠点都市ですが、私はその拠点都市に相応しい社会資本整備を常に想定し、都市の拠点性を社会資本の整備で担保していていくべきものと認識をしております。
 そのうち国道46号線の高規格化については、平成25(2013)年12月議会の一般質問でもこの課題について、指摘をしてきたところです。
 盛岡市が中核となった横軸連携については、盛岡から沿岸部については、延長 5キロの新区界トンネルを初めとする宮古盛岡高規格道路が2020年には完成する見込みとなり横軸連携が更に進んでまいります。 もう一方の秋田県側には仙岩峠があることから、特に大型車での移動や厳冬期は心配です。 この仙岩峠は、1年に 1度程度は、雪崩や着雪で通行止めがあることから、この峠越えの抜本的な改良について拠点都市の盛岡市と秋田市が沿線の自治体とともに相互に運動を継続していくことが必要と認識しております。
 そろそろ道路の小出し的な改良ではなく、国道46号線全線の高規格化を表明する時期にきているのではないでしょうか。
 また、秋田道が北上から湯田・横手・秋田市と整備されたことにより物流拠点が北上市に集積してまいりました。 社会資本整備が次の地域づくりに着実に進んでいることにも危機感を持ちます。
 今年 6月に秋田県が秋田新幹線の通る田沢湖線の県境の赤渕~田沢湖間において天候に左右されないための新しいトンネル整備についての構想を表明されました。
 一方で岩手県側は、この整備は6~700億円程度かかること、地元負担が求められるわりには、時間短縮効果が約 7分であることから、事業者負担を基調とするという消極的な姿勢が見られたところです。
 この新トンネル構想においては、秋田新幹線防災対策トンネル整備促進期成同盟会という組織が立ちあがっているようですがこの組織と盛岡市との関わりや運営方針はどのようなものでしょうか。
 この構想は、鉄道単線で、報道によれば延長 10キロの長大トンネル。最高速度は 160キロの設定のようですが、仙岩峠は道路側にとっても難所であることから同時にもう一本新トンネルを掘削して鉄道と道路を同時に改良することを提案いたします。
 この機運醸成を好機ととらえ、盛岡市側から県にも働きかけをしてほしいものです。
 現在工事中の福井県内の北陸新幹線では九頭竜川を渡る橋について新幹線と道路が並走できる橋を現在整備中です。 また、鉄道と道路が並走できる社会資本整備は、岡山と香川を結ぶ本四連絡橋や大阪市にある新御堂筋の国道423号線と地下鉄御堂筋線でも目にすることができます。
 仙岩峠の克服こそ、横軸連携の完成であるという立場から鉄道・道路一体となった改良の機運を高めて頂きたいのですが、これらについて市長のご所見をお聞かせ願います。

 つづいて、福祉避難所についてお尋ねをいたします。
 福祉避難所は、災害発生時に一般の避難所で避難生活を送ることが困難な方が安心して避難生活を送ることができるよう市内に社会福祉法人等と協定を締結した上で利用できる避難所で、盛岡市の場合はすべてが介護施設もしくは障がい者施設で民間の福祉施設となっております。 対象は高齢者あるいは障がいのある方々であり一般の指定避難所で生活可能な避難者の方は対象とはされていないものです。
 この福祉避難所は災害発生時に必要に応じ開設される 2次的な避難施設であり受入先の状況を考慮して開設をされ、自宅から直接避難することはできないとされております。 この福祉避難所に指定されている市内 43 の福祉避難所です。
 ただ、これらは、既に利用者がおり、災害時は、さらに繁忙となることが想定され、その上で、外から福祉避難者を受け入れる余力がどれだけあるものか、またその対象者・介助者の移動の手段の確保が課題ではないかと認識をします。
 盛岡市では、全ての避難者に対し、まずは通常の指定避難場所への避難を呼び掛けており、その上で保健師等が健康状態を判断して受け入れ可能状態を把握したうえで福祉避難所へ移動をするものの、災害発生から数日を要する場合があるとされております。
 先日、地域の民生委員との懇談の際にこの福祉避難所について話題が上がりました。
 大規模災害時における利用開始時期について、あるいは福祉避難所開設の情報提供体制、また福祉避難所開設場所までの移動の確保といった課題です。 また重症心身障害児者とそのご家族の場合はこの移動と情報提供体制にはより敏感である課題ともいえるものです。
 あわせて、高齢社会において福祉避難所の枠組みでみると多くの市民が該当し、大規模災害では 43 ある民間施設では対応は困難になるのではないでしょうか。
 まず確認をすることは、この福祉避難所開設の本市での設置のきっかけと、あわせて、これまで福祉避難所は、収容人員は何人なのか、これまでのべ何度何か所開設をされ、何人の方が何日避難されたものか、あわせて介助者の利用や移動のための手段の提供の有無、更に避難民収容によって発生した費用はどのように精算されるものか確認をしたく思います。
 前述した方のように、現段階で利用を希望している方の把握はどうでしょうか。 今後の拡充の予定や撤退の意向など福祉避難所における今後の課題はどのようなものがあるか、お聞かせ願います。

 教育について、いじめ問題など教育問題の解決における学校弁護士(スクールローヤー)事業の導入についてお尋ねをします。
 教育における大きな問題である、いじめ問題は、時には児童生徒の自死を招く重大でかつ深刻な課題であると認識されておりますが、学級という同質性や毎日顔を合わせる強制力のある環境、また進学や部活動など環境や将来への不安も加わること、また加えてネットや SNS などつかみにくいところでの発生もあり構造的な課題であると認識しております。
 いじめ問題はあるということを前提に捉えて取り組んでいく姿勢が必要であると認識をしております。 いじめを潜在化させないためには、一つの方法として信頼できる相手に対し思い切って相談できる窓口です。 フリーダイヤルで子ども SOS ダイヤルが設置されておりますが、相談状況はどのような状況となっているものでしょうか。
 教育現場には外部の目線が必要ではないかと感じております。 いじめ対策においては、第三者、弁護士の法知識の力を借りていじめの解決に生かすスクールローヤー制度があります。
 文部科学省の補助事業で大阪や三重、大分県での導入実績があります。 利点は、外部の目線であること、専門性の高さと人権意識の醸成と人への尊厳を再確認するということと認識をします。 また、繁忙化をする教職員に対しての指導・助言も期待ができ法的な対応や児童への出前授業を行うなど、教職員の負担軽減にも繋がります。
 私は教育現場の課題も山積していること、保護者の特定要求から教員の負担を軽減する、教育現場への学校弁護士(スクールローヤ―)の配置を提案したく思います。 この点について教育長のご所見をお聞かせ願います。

 (仮称)仙北中学校第二体育館についてお尋ねをいたします。
 向中野小学校を卒業した児童が通うようになった仙北中学校では、生徒数の増加から狭隘化が著しく、今後も続く生徒数の増加見通しで昭和の頃のような問題が発生をしているところです。
 さて、老朽化をした学校プールを更地化してそこに二階建の第二体育館を建てることをご決断を頂き感謝しているところですが、設計図を見た方から2つの課題があること指摘いただきました。一つはトイレが無いというであり、二つ目に隣の二階建の体育館に直接行くことができず、一度一階に下りなければならないという課題です。
 まず、お尋ねをすることはなぜ体育館にトイレがないのでしょうか?生徒の安全対策に問題はないのでしょうか。
 あわせて今ある二階建の体育館のすぐ隣に同じ二階建の第二体育館をつくるのになぜ平行移動ができずに一度外へ出る構造なのでしょうか?
 雨天時はもとより、生徒の移動の負担の増加もあります。
 加えて私が懸念しているのはこの仙北地区が洪水想定区域であり 5メートル以上の浸水想定区域であることです。
 この仙北中学校は、この洪水想定区域において最大の避難所であるということです。 避難民がせっかく二階建の体育館がありながら避難できない、避難してきてもトイレがない、浸水や土砂ぶりの中を移動して第二体育館へ移動しなければならない、となれば話になりません。
 トイレ設置とあわせて現在の体育館と第二体育館へ移動できるわたり廊下の設置を要望するものですが、ご見解をお聞かせ願います。
 また、第二体育館の完成で仙北中学校の校庭はカタカナのコの字型に校舎の配列となります。
 仙北中学校は校庭がせまく、生徒一人当たりの面積は市内平均の 5分の1 です。 そのため、校庭の高度利用は不可欠です。 コの字型に整備された校舎に直接照明をつけることで学校校庭の長時間利用が可能となるわけですが、ナイタ―設備を再度要望いたしますがご見解をお聞かせ願います。

(盛岡市議会 2018年 12月定例会一般質問 終わり)

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鈴木一夫後援会事務所 © 2018年12月31日
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