2019年 12月 9日
盛岡市議会 12月定例会
一般質問

市政クラブ 鈴木一夫

 福祉のまちづくりについてお尋ねをいたします。
 CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは高齢者が元気なうちに移住し終身を過ごす共同体と解釈され、米国やスエーデンなどで採用され日本でも 2010年代に浸透。 人生 100年時代に健康寿命を満喫して趣味や社会活動に勤しみながら豊かな老後を過ごすというサービス付き高齢者住宅とコミュニティー施設が合体された施設です。
 岩手県内にもあり、八幡平市松尾の岩手山ろく北側にあるオークフィールド八幡平が有名です。 この周辺には温泉や別荘地がもともと展開されており移住者や 2地域居住地としてリゾートと高齢者によい自然のリゾート地が売りとなっている CCRC の街となっています。
 一方この CCRC では、首都圏の高齢者を地方が引き受けるという見方があるようですが、この施設を設置した自治体からすると高齢者に対する負担は、出身自治体が担う制度があることから経済負担という側面ではなく、高度人材の地方還流という前向きな見方であるとの見解が示されています。
 各地域で推進されるこの CCRC について見ると、盛岡市でみると、戦災にも大火にも合わなかった文化的環境の町自体が元気な高齢者の移住する地としても優しい街であると感じたところです。
 これまで盛岡市の移住定住促進というと生産年齢人口、特にも子育て世代の地域移住が推進されてきましたが、シニア世代の積極的な移住も視野にいれた環境整備も市政運営にとって検討に値すると認識をしたところです。
 全国各地で始まった CCRC をみると一般には高級なサービス付き高齢者住宅を建設してそこ家庭菜園区画を提供し、さらには近接してコミュニティー施設があり音楽演奏や趣味に時間を費やす施設が整備をされています。 ここには、医療や介護を受ける施設が隣接されていて安心して生活ができる環境が提供されています。
 いくつかの先進事例を検証するといずれもユーザー目線での施設建設がなされています。 一見すると富裕層向けサービス付き住宅といった感じを受けますが、住めば住むほど健康になる住居という視点は、民間経営ならではですが、運営ノウハウはそのまま行政運営にとっても大きな刺激になると感じた次第です。
 健康なうちに移住して安心できる生活を送るという視点は首都圏住民だけではなく、盛岡市民にも同様な環境の提案ができれば、市民にも対象を広げ、両方の高齢者の生活の場所の提供としても一石二鳥で有意義だと感じた次第です。
 盛岡市内には大小さまざまなマンションが林立していますが、これから新設をする際にマンションの設計に手を加えれば市内各地に CCRC のようなサービス付き高齢者住宅ができると感じます。

 市長は、全国各地で始まった CCRC の取り組みですが、健康なシニア層の移住に着目した移住促進策を盛岡市で取り入れることについてどのようにお考えでしょうか。
 私は、2度泣き橋で知られる盛岡市として一度どっぷり盛岡に浸されれば、終身の心のふるさとになるのではないかと感じておりますし、高齢者の移住策についても推進をしてほしいと思っておりますがどうでしょうか。

 さて、医療機関との連携は CCRC の推進で特にも健康増進には欠かませんが、この CCRC 構想を推進する際に市立病院敷地内の介護施設建設予定地に建設ができないか、CCRC 運営業者を誘導したらどうかと認識をしますが如何でしょうか。
 地域には病院や診療所だけではなく屋内プールや文化施設、買い物をする場所もあり歩道の幅員も広く、中央公園などの環境にも恵まれ CCRC には適地と感じた次第です。
 仕切り直しとなっている市立病院敷地にぜひ誘導できないか、そして成功した際には住宅展示場なども買収して増設することも可能と思いますがどうでしょうか。

 福祉のまちづくりを推進する上での課題は単身世帯の増加に対する対応です。
 高齢者以外の若者も含め単身世帯は今後も増加する見込みです。 盛岡市人口ビジョンにも高齢者人口の増加、世帯数の増加の見込みが示されていますが、今後世帯数をどのように見込んでいるものか、予想される最大の見込み年度での想定数は現状との比較でどのようになるものか、将来予測をお願いいたします。
 単身世帯、特にも身よりの方がいない場合の見守り活動は地域の課題でもあります。
 身近な相談者である民生委員ですが、12月 1日に一斉改選がありましたが、忙殺される業務や対象世帯の増加がなり手不足の要因であると報道もされました。
 盛岡市の民生委員の改選による充足率はどうなのか、不足する地域の傾向についてと空白地域の対応は今後どうしていくのか、方向性をお聞かせ願います。
 また、奉仕活動に依拠していますが、報酬も出しながらやりがい部分の喚起ができないものでしょうか。 地方交付税措置があるようですが、そのままの金額を付与することはできませんか?  今後も伸びが予想される単身世帯の増加ですが、これからは、終身世話人制度のような公的あっせん機関が必要と感じた次第です。
 成年後見人制度の広域での拡充も始まりますが、健康なうちから終身相談できる公的機関の環境整備についてのご見解をお聞かせ願います。

 つづいて、防災について。 ここでは、自主防災隊の現状についてお尋ねをいたします。
 各町内会単位で結成されている自主防災隊は、住民の定住人口あたりの結成率についての集計や自主防災組織への資器材の配布措置はあるものの、この質的強化が大きな課題であるとこれまでも議会や委員会で指摘をしてまいりました。
 特に結成率の現状に加え定期的な訓練状況とその参加率、また、いざとなった場合の実働できるか否かは大きな課題ではないでしょうか。 自主防災隊の組織づくりは、形だけ・あて職の感じが強く、地元消防団や常備消防と民生委員や地区担当員など委嘱された皆さんとの同士の顔の見える関係づくりが不足していると考えます。
 盛岡市としては、これまで結成を促して結成された自主防災隊が、この間にどれだけ育成されるように指導助言をしてきたのか。 また市と接点がない自主防災隊はあるのかどうか、どのように分析をしているでしょうか。
 員数数合わせの対応は、国や県に対する報告はできても、いざ災害となった場合にどれだけ自主防災隊の組織が実際に機能するか、あらためて検討を頂きたいと思います。
 例えば頑張っている自主防災隊については、この訓練や活動について表彰制度を設けてそれを周知して相互に刺激をしていただくことが活性化につながるでしょうし、防災をテーマとした活動を行っている地域をまとめ広報をするのも手であると考えます。 また運営ノウハウの公表など広報では、どうしたら自分たちの地域でもできるのかを共有できることも必要と考えます。

 自主防災隊の役割は、初期消火にくわえ避難誘導や応急手当、避難所開設支援、自警団の組織でありますが、顔の見える関係で構成をされている特性から、避難所運営や自警団に特化した訓練を行うことはできないものでしょうか。
 また全国的には防災用教材が多数あるようです。 盛岡市独自の防災教材を作成し、地域に応じ水害対応や火災・地震さらには土砂災害や火山泥流などそれぞれの地域特性にあった、かつ盛岡市の事例を紹介しながらの映像での指導は大きな効果が期待できると考えますがどうでしょうか。
 このほか、長期化する避難所運営となれば、弱者への対応や衛生面での環境整備、さらにペットの保護など多様化する課題が集中的にかつ即決を求められる対応として出てまいります。
 避難所開設について概要を公表いただかないと住民はどこまで動いてよいものかわからないのが現状ではないでしょうか。
 仙台市では避難所となる小学校体育館のカギを予め自主防災隊隊長に付与しておき、隊長の判断で避難所開設ができるという協定を結んでいます。
 盛岡市で同様の措置を講じてほしいと思います。 あわせて避難所開設の際には予算措置を講じ、隊長や自主防災隊の判断で購入あるいは支出したものは事後精算処理(義援金を充当)できる協定も必要と考えます。 避難所運営権の地元への付与、平時からの小学校単位の避難所運営委員会の設置についてはどのようにお考えでしょうか。
 特に災害の規模や内容によっては、自警団を組織する必要があります。 この際にかかった提供者の車両費が提供した側の負担か補填かで、取り組みも違うのではないでしょうか。
 避難所に貸与あるいは、送られた支援物資の分配はルールを決めて公平に分配をするわけですが、有償で購入した場合、避難所の仮払い的な運営費はどうなのか。 ぜひ事前の指針の策定と各防災隊との協定の締結と周知、さらには地域主導の避難所開設権の設定をしてほしいのですが市長のご見解をお聞かせ願います。

 自治体間連携についてですが、先日の台風災害では、沿岸部の災害ごみの処理を盛岡市でも担うこととなりました。
 先の台風被害ではどの程度の災害ゴミの処理を盛岡市が担うことになるものでしょうか。
 さて、自治体間の防災協定については、現在何自治体とどの程度結んでいるものか、あわせて東南海地震のような国を揺るがしかねない災害の場合で盛岡市が被災していない場合は環境省の主導となるものでしょうが、どの程度の対応をとると事前に計画なり想定をされているものでしょうか。
 東京都文京区との友好都市締結では、この防災面での連携が発揮するのではないか、と考えます。 観光面だけではなく防災担当者の人事交流を行いながら信頼関係の情勢と構築に向けた対応を進めてほしいのですが今後の文京区との防災での連携や文京区が被災した場合の盛岡市内に文京区役所分室の提供などの即応体制について進めてほしいのですがご見解をお示し願います。
 あわせて相互の支援体制の協定を是非今後とも展開をしてほしいのですが、今後の自治体間の防災協定の拡充についてのお考えもお聞かせ願います。

 教育についてお尋ねをいたします。
 冒頭、教育長に「ユーチューバー」についての認識についてお尋ねをいたします。 小学生のなりたい仕事に「ユーチューバー」があります。 動画投稿サイトユーチューブに自身が作成した動画を公開して再生回数によって広告収入を得るものですというシンプルなビジネスです。
 その動画をみると、投稿者が撮影あるいは自作した動画などいくつかジャンルがあるようです。 専門家顔負けの高品質の力作や偶然に撮影されたとはいえ、世界規模の事件事故の瞬間をとらえた動画もあり、テレビとは違った視点で動画を楽しむことができるものです。 またテレビニュースに引用されるなど影響力がある動画も増えてきました。
 今日のネット環境、つまり、ひとり一台のスマートフォンの所持は、だれでも動画を撮影できるという環境ですし、カーナビゲーションや防犯カメラの普及で個人が誰でも動画を撮影して公開できる環境が整備されたとみるべきと考えます。
 私は、社会性のある動画は社会をよくし、情報提供する貢献度があること、その時代の記録としての資料的価値の要素があることと認識をします。
 教育長は、小学生のなりたい仕事の上位にあるユーチューバーについてどのようなご見解をお持ちでしょうか。
 今の小学生の6割は、大学卒業時には今は存在していない職業に就くとされるようです。ユーチューバーという仕事はこの議場にいる皆様方は、子供のころにはもちろん無かった職種ですが、この先 AI の活用促進からこのような今は想像できない職業が今後も増えていくものと想定されるものです。
 予測困難な将来に対し自ら課題を発見して知や価値を創造する力をはぐくむことが課題であるとの見解が出されています。 そのためには「読み、書き、計算」以外に生徒会活動などリーダーシップや集団で何かをやりきるといった経験は将来価値につながるという研究もあるようです。
 このような場は、適正規模の学校環境によって提供されるのではないか、と認識をいたします。 学校の規模が小さくなるほど人間関係が固定化し、属人的な要素が強まり、教育環境が果たして妥当かどうか検証が必要ではないでしょうか。
 盛岡市内には一学年一学級を有する小学校は、市内 13校で全体の 3割にものぼります。
 教育委員会の姿勢は、この 12月議会に繋中学校閉校の補正予算案が提案されましたが、これまでの小規模校の閉校はいずれも地元発議という形をとり受け身すぎると感じてまいりました。
 社会変化の激しい時代、先に触れた今の小学生が大学を出るころには 6割の職種は今存在しない職種となる、ということが想定されるなか、小規模校が教育環境としてどうなのか、つまり盛岡市の子供たちの教育環境はどうあるべきかの理念を基準として考える視点が必要であると考えます。
 子どもたちの教育の理念を基準とした教育委員会主導による学校統合の動きはできないものかお尋ねをいたします。
 また統合には寄らないものの、例えば隣接をする学校の合同授業の展開やネットを活用した疑似クラスなどの展開など小規模校の良さを生かしながらも社会環境に適した人材育成の教育環境整備はできないものか、お尋ねをするものです。

 学校弁護士事業についてお尋ねをいたします。 先日、9月 24日の新聞紙上一面で学校弁護士を全国に300人ほど配置をする記事が掲載されました。 記事によると全国の教育事務所と連携して拠点をおきいじめや虐待対応を行うというもの。 このほか自治体独自で学校弁護士との契約を図る動きも全国で始まっています。
 この事業について盛岡市とはどの程度の関わりあるいは配置となるものでしょうか。 学校弁護士いわゆるスクールロイヤー制度については、学校長以外の児童生徒や保護者との関わり方はどうなるものでしょうか。
 私は、教育関係者は分け隔てなく活用できることが望ましいと考えます。
 もし、盛岡市の配置が足りないようであれば独自加配をしていただきたいのですがご見解をお聞かせ願います。

 つづいて通学路の安全対策ですが、平成30年 6月に発生をした大阪北部地震では小学校の塀が倒壊し、通学途中の女子児童が下敷きになり死亡されるという事故がありました。 その後、通学路の安全対策特に公共施設のブロック塀の強度が課題となり、盛岡市でも目視および打音等による点検をうけて市内の学校ブロック塀を金網式にする事業が実施されたところです。
 ところで、公共施設のブロック塀の安全対策は一段落しましたが、民間所有のブロック塀については、安全点検を実施したということですが、調査をした結果をうけてどのような指導がされたのか、改めて全容をお伺いいたします。
 また、先の地震以降全国の自治体ではブロック塀の撤去の独自助成を行っています。 盛岡市はこのような制度を検討したいと過去答弁されていますが、その後の検討状況は前へ進んだものなのか、新年度予算に提案されるものなのか併せてお尋ねをいたします。
 もう一つはゾーン 30 の現状ですが土淵地区などで設定されているゾーン 30 ですが是非小学校学区全体に分かりやすい表示で横方向へ導入展開ができないか、提案をするものです。 ゾーン30の導入の現状と今後の展開について見通しをお示し頂きたく思います。

 芸術に触れる機会についてお尋ねをいたします。
 子どもたちが本物の音楽や演劇に触れる機会ですが、かつては学校に、音楽や演劇の巡回があり直に芸能や芸術に触れる機会がありましたが、現在はなくなってきたのではないか、と芸術関係者から指摘を頂きました。
 本格的な表現系の芸術に触れる機会があれば情操教育にも非常に有益ですが、盛岡市における芸術に触れる機会について、現状はどのような状況でしょうか。
 表現系の芸術をする方よる市内学校で音楽や演劇を披露するためにボランティア登録制度があれば有効であるとお聞きいたしました。
 お互いが接点を持つために盛岡市に子供たちへ技術や芸術、芸能を披露してもよいという市民や有志の登録制度を設け、学校長の判断で様々な校外の皆様の芸能の披露のできる環境整備をしてみたらどうか、と思います。
 この点についてお考えをお聞かせ願います。

(盛岡市議会 2019年 12月議会一般質問 終わり)

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鈴木一夫後援会事務所 © 2019年12月31日
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